こんにちは、Webコンサルタント・ディレクターの佐々木です。
「自社のWebサイトの改善したい点はたくさんあるのですが、うまく言葉にまとめられなくて......」
Webサイトの改修・リニューアルのヒアリングで、こうした言葉をお客さまから聞くことがあります。発注側の熱量は十分なのに、プロジェクトが進むにつれて「なんか違う」「思っていたものとズレてきた」という声が出てくることがある。段階的に合意していたことにもリテイクが重なり、スケジュールが延び、最終的に誰も得をしない状況になる。
――こうしたケースの多くは、最初のヒアリングの段階で防ぐことができます。
今回は、Webサイト制作のプロジェクトで必ず最初に確認する10の質問を紹介します。発注を検討している方にとっては、事前に整理しておくと打ち合わせがスムーズになるチェックリストとしても活用できます。
なぜ初期のヒアリングで失敗が起きるのか
よくある誤解は、「要望」と「課題」を混同してしまうことです。
「デザインをすっきりしたい、おしゃれにしたい」「動画を入れたい」「スマートフォン優先のレイアウトにしたい」
――これらはすべて要望です。しかし、その裏にある「なぜそうしたいのか」「何を解決したいのか」が整理されていないと、見た目は要望通りでも成果につながらないWebサイトができあがります。
「チャットボットを導入したい」「この最新ツールを使いたい」といった形で、初期ヒアリングの段階から手法を具体的にご指定いただくこともあります。もちろん、目的や課題に照らして最善の手段であれば話は早いのですが、「なぜその手法なのか」「それで何を解決したいのか」が定まっていないケースも少なくありません。手法が先に決まった状態で進むと、本来解決すべき課題が後回しになり、完成後に「思っていたものと違う」目的の達成や、課題が解消できない改修、リニューアルとなります。
私たちの仕事は、要望を形にするだけでなく、発注側がまだ言語化できていない課題を引き出すことでもあります。そのために欠かせないのが、最初のヒアリングです。

最初に聞く10の質問
質問は大きく三つのグループに分けられます。
グループ① 目的・ゴール(なぜ作るのか)
Q1 このサイトを作る(リニューアルする)一番の理由は何ですか?
「なんとなく古くなったから」と「問い合わせ数を増やしたい」では、設計がまったく変わります。お客さまと制作側がゴールを最初に共有することが、全体の方向を決めます。
Q2 制作後、どんな状態になっていたら成功だと思いますか?
「成功の定義」を明確にする質問です。数値目標(KPI)があれば理想的ですが、「お客さまに信頼してもらえる」という定性的な答えも重要な判断材料となります。
Q3 サイトの主なターゲットは誰ですか?
ターゲットがあいまいなまま進むと、デザインもコンテンツも「誰にも刺さらないもの」になりがちです。年齢・職種・課題感まで具体的に話せると理想的です。
Q4 競合や他業種で参考にしたいサイトはありますか?
言葉では伝わりにくいデザインのイメージや、目指すポジションを確認するための質問です。「こういう感じは嫌い」というNG例も同様に参考になります。
グループ② 課題・背景(何を解決したいのか)
Q5 現状のサイトで、一番困っていることは何ですか?
現状への不満を具体的に聞くことで、解決すべき優先課題が見えてきます。この答えがあいまいな場合は、アクセス解析などのデータや競合Webサイトの分析結果を一緒に確認するところから始めることもあります。
Q6 お客さんからサイトについて何か言われたことはありますか?
社内では気づきにくい「外からの評価」を確認する質問です。「問い合わせフォームが分かりにくい」「知りたい情報にたどり着けない」という声があれば、優先して改善すべき課題といえます。
Q7 今後1~2年で、事業やサービスに変化の予定はありますか?
将来の拡張性を考慮したサイト構造・設計にするための質問です。サービスが増える予定であれば、ページ構造やCMS設計をあらかじめ柔軟にしておく必要があります。

グループ③ 制約・体制(どんな条件で進めるのか)
Q8 予算と公開希望時期はありますか?
制約が明確なほど、実現可能な提案ができます。「予算は決まっていない」という場合も、おおよその規模感を確認しておくと提案の精度が上がります。公開希望時期までに間に合わない場合は、優先度を設定して段階的に公開していく計画も立てられます。
Q9 制作の窓口担当者と、最終決裁者は別の方ですか?
承認フローを最初に把握しておくと、スケジュール設計がスムーズになります。決裁者が途中で「これじゃない」と言い出すケースを防ぐためにも重要な確認です。
Q10 公開後の更新・運用は、社内でできる体制がありますか?
更新が必要なサイトなのに運用担当者がいない状態で公開してしまうと、ページの更新・追加ができず、すぐに情報が古くなります。CMSの選定や管理画面の設計方針など、管理のしやすさに関わる大切な前提です。
質問への答えで、プロジェクトの難易度が見えてくる
これらの質問にスムーズに答えられる会社は、プロジェクトがうまくいく確率が高い
――これは経験上、ほぼ間違いありません。
逆に言えば、答えに詰まる項目こそが、プロジェクトの「リスクポイント」です。例えば「Q9 決裁フロー」の確認があいまいなまま進んだ案件で、デザインを何度も修正することになった経験をされた方も多いのではないでしょうか。課題を解消できるベストなデザインが窓口担当者から承認されても、社内の事情により変更となるケースもあり、関わる全員のモチベーションに影響します。??そうした経験も踏まえ、最初にひと手間かけて確認し、必要であれば関係者への事前共有も行っておくことが、後工程の大きな手戻りを防ぎます。
発注する側にとっても、この10の質問は事前準備のヒントとなるはずです。打ち合わせ前に主幹部署のメンバーでひと通り考えておくだけで、最初の会話が驚くほどスムーズに進みます。
発注前に確認しておきたいチェックポイント
発注前に社内で整理しておくと良い項目をまとめます。
- サイト制作の目的と成功の定義を言語化できている
- 主なターゲット像を具体的に説明できる
- 現状サイトへの不満や課題をリストアップしている
- 参考サイト(良い例・NG例)を3~5件ピックアップしている
- 公開後の運用担当者と更新頻度を決めている
- 意思決定の流れ(担当者→決裁者)を把握している
良いヒアリングは、良いサイトの第一歩です。準備が整っているほど、私たち制作パートナーとの最初の会話から密度の高いものになり、目的・課題が明確になることで、解決策の提案もスムーズになります。
「何から聞けばいいか分からない」「自社Webサイトの課題をうまく整理できていない」という場合は、まずはお気軽にお問い合わせください。経験豊かな弊社スタッフが整理するところから一緒に考えます。

